今回は走り出したくて、うずうずしたい時にぴったしの音楽がテーマです。
いつまでも土手の堤防を「青春のバカぁっっ!!」って感じで走る、そんな気持ちでいたいですよね。
うまくいかないこと、つらいこと、なんでっってことが世の中にはたくさんあります。そんなことを頭の中で考えているだけだと、思考回路がコヒーレンス起こして訳わかんなくなってしまいそうです。
そんなモヤモヤした感情を代弁してくれそうな、クラシック音楽ばかりを集めてみました。
きみは、なにをいーまー♪
どないしたん?なんかあったん?
ファウストの劫罰(ごうばつ)
初期ロマン派で疾走の表現でがんばっているのが、クラシック界の異端児ベルリオーズ。
処刑される恋人のもとへ馬を走らせるシーンが描かれている、《ファウストの劫罰》(「ごうばつ」と読みます)のクライマックス「地獄への騎行」。
弦楽器のひづめの音を模したリズムや、メフィストフェレス役の歌手が威勢よく「はっ、はっ」と馬を急き立てるなど、この時代としては画期的な緊迫した表現になっています。
ファウスト博士の地獄落ちのシーンやね。
自責の念にかられたファウストが、必死で助けに行こうとしている。まさに青春やん。
いや、間に合ってないし。
参考まで
ワルキューレの騎行
同じ馬を使った疾走表現でも、ワーグナーの楽劇《ワルキューレ》は一味違う。それが第3幕の「ワルキューレの騎行」で、音を重ねながら始まる出だしは、ひっ迫した状況をうまく作り出している。ひづめの立てる音の表現を、ワーグナーは音楽の主題と密接に絡めながら展開させている。
甘酸っぱい青春いうより、攻めにいってへんか?
綿密な計画を立てて敵の背面に回り込んで、一秒単位で武器とか攻め方を変えていくような。
いや、そんなゲーマーみたいなこと言うてへん。
キージェ中尉「トロイカ」
プロコフィエフの映画音楽《キージェ中尉》の一曲「トロイカ」。トロイカは3頭の馬に引かせた馬車のことです。
Prokofiev: Troika · Sokhiev / Berliner Philharmoniker
同じ馬でも《ワルキューレ》とこれほど雰囲気が違うのは、なんでや?
トロイカは積んでる荷物を運ぶだけやん?ところが、ファウストもワルキューレも人の生死が背景にあるから、否が応でもどこか緊迫してくる。
違いはそこか。
パシフィック231
さあ、20世紀ともなると、さすがに馬の出番は少なくなる。疾走感を出すにはメカニカルな要素が登場してくる。その元祖ともいえるのが、オネゲルの《パシフィック231》。蒸気機関車がスタートしてから停車するまで、走る様子をリアルに表現している。単なる再現だけではなく、対位法を駆使したりリズムを細かく工夫したりして、音楽的な表現が非常に豊かで力強い一曲です。
これは人の生死と関わりなくても、どこか重苦しい緊迫感があらへん?
こればっかりはオネゲルの個性かと。いろいろと問題意識を抱えたところがあったようだし。作曲されたのが、20世紀初頭という混乱の時代だったことも、たぶん影を落としているのかも。
で、なんであんた、めずらしく思春期っぽく「青春のバカ」って苦しんでたん?
YouTuberの、うごくちゃんのことで。
そら、あたいも同じ思いや。