クラシック音楽手帖

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ヨッフム&ドレスデンのブルックナー全集は、ジャケットが断然お得!

今日はヨッフム指揮シュターツカペレ・ドレスデン演奏の『ブルックナー交響曲全集』(2020年リリース)の感想を紹介していきます。

 

まず、CDボックスセットを購入する時、いつも気にかかっていることがあります。

それは中身のCD紙ケースが、オリジナルジャケット仕様かどうか、なのです。

今回、オイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum)指揮するブルックナー交響曲全集を購入するかどうかで、すごく迷ったのが、このジャケットデザインの問題でした。

 

 

2020年にワーナーからリリースされたシュターツカペレ・ドレスデン盤。あまりにも名盤過ぎて、度重なる復刻されたもの。もともとはEMIレーベルが刻印されていたものです。

どうして購入に戸惑っていたのか?それは、中身がみんな金太郎飴みたいに同じジャケットデザインだったということが、あるあるだからです。

たいていは販売元が中身デザインをチラ見してくれているので、それを見て判断しています。ところが、この盤に限っては写真がどこを調べても見当たりませんでした。それだけに、買うかどうか迷ってしまったわけです。

ジャケットなんてどうでもいい、と言われればそれまでですが、でも、私はそこにこだわっています。実は指揮者ヨッフムさんの肖像写真がオリジナルのジャケットデザインに用いられていて、いい味出しているのです。オリジナルジャケットのデザインのほうが、親しみが湧いて断然いいと思います。

 

以前、EMI時代に出ていたボックスセットでは、全部同じでなんの変哲もない味気ないデザインでした。そのせいもあって、親近感を感じるには程遠く、ネガティブな印象しか持てなくて、やがて失業時代の赤貧だった頃に、惜し気もなくさっさと買取に出す始末でした。

このように情報不十分にもかかわらず一か八かで購入しようと踏み切った訳は、ワーナーだったら勉強してくれている、というかすかな期待(ワーナーは最近この方面で頑張っている)と、その廉価(輸入盤なので販売サイトによりけりですが、私の場合3000円を大幅に下回った)が後押ししたからです。

 

ネット通販で届きました。恐る恐る開封。中身の紙ジャケットのデザインは・・・、オリジナルの肖像写真を踏襲していました!デザインはバラバラでした、嬉しい!それぞれの盤で視覚的な味わいが加味されていて、とても良い買い物だと思います。高評価です。

(ひとつだけ?だったのは、第4番と第5番の2枚だけは、かつての全集盤のレリーフ調のカバーデザインの使用でした。音楽情報サイトDiscogsなどで過去盤の画像データを調べてみたりしたのですが、オリジナルデザインがもうひとつはっきりしません)

 

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Jochum:Bruckner the 9 Symphonies 中身はこんな感じ。

 

肝心の音楽についてです。

テンポや強弱の強引なまでの解釈は、ヨッフムならでは。たんたんと演奏する指揮者もいるところを、揺らぎをマックスにして荒立ててゆきます。

残響が短いかな、と気になる点はありますが、そこはデジタル時代の再現性を重視した残響とは、たぶん捉え方が違うんだろうなという印象です。

それよりも「これでもか」と遠心力に持っていかれそうになるほどの情感は、ヨッフムの一番の聴かせどころでもあります。骨太のブルックナーです。

1970年代だからこそ通用した演奏と言えなくもない粗削り感は否めませんが、その粗さこそが毒々しくブルックナーをもだえさせ、感情を露わにさせていく重要な点。第3番冒頭楽章の終盤にどんどん疾走するリスキーなテンポは圧巻です。雄弁なブルックナーでもあります。

 

高尚な側面を醸し出すブルックナー指揮者が多い中で、ヨッフムの場合は真逆の動的なブルックナー。ギュンター・ヴァントを先取りしている感じも、なんとなくあります。古き良きクラシック全盛期を知る団塊の世代はもとより、青春真っただ中の若い人たちに「こんな熱いクラシックもあったのか」と知ってほしいような演奏です。

 

※ちなみにヨッフムブルックナー全集を2回録音していて、グラモフォン社のベルリンフィルバイエルン放送交響楽団の1958~1967年録音盤も存在。

※今回のシュターツカペレ・ドレスデン盤は1975~1980年録音。

 

Bruckner: the.. -Box Set-

Bruckner: the.. -Box Set-

  • アーティスト:Jochum, Eugen
  • 発売日: 2020/03/20
  • メディア: CD