クラシック好きの休日

隔日更新。特にクラシック音楽と本について。

意外と良すぎて困った~ウォルトン『ヴァイオリン・ソナタ』

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ウィリアム・ウォルトン(Sir William Walton)について先日振り返ってみた。その中で「作曲の技巧的には大したことのない凡庸な音楽だ」とこれまでの印象を書いたばかりでした。でも、どうやらとんでもない思い違いをしていたかもしれないと、すぐに気づきはじめたのです。

yomkik2020.hatenablog.jp

ウォルトンの音楽をYouTubeで手あたり次第、聞きあさってみた。すると、そのうち何曲も心の引き出しに入ってくる音楽があったわけです。彼には何かある、と気づいた瞬間でした。

 

その一曲が『ヴァイオリン・ソナタ』 (1947–49年作曲)。ウォルトンにとっては中期の作品。憂鬱な霧が漂うなか、歩みは力強い。時おり幻想も漂ってくる。いっぽうで音楽理論的な進歩にはまるで歩み寄りはなく、あくまで歌うことを・歌わせることを大切にしている。だから、19世紀音楽に慣れた耳にはとてもやさしく、19世紀にはなかったような感性を発見してしまう。メカニズムではなく感情の流れが新しく流れている。

 

Walton: Sonata For Violin and Piano, Franck: Sonata in A Major For Violin and Piano

Walton: Sonata For Violin and Piano, Franck: Sonata in A Major For Violin and Piano

  • 発売日: 1994/12/20
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 


1. I Allegro transquillo, Sir William Walton: Sonata Violin & Piano, Kamei (Violin) Okashiro (Pno)

 

 Yukiko Kamei and Chitose Okashiro の演奏の、質朴な響きは個人的には好み。ヴァイオリンもピアノも、一度土に植えて50年風雨に耐えて育ってきたものを聴いているような落ち着きがある。詩情があふれている。

 

同じ音楽でも対照的なのが、タスミン・リトルというヴァイオリン奏者の響き。視聴してみたがまるで音の描き方が違う。未来志向の明るさというか、力強さが漲る。ほんとうはこの演奏が理想的なのかもしれない。リトルの演奏もこの音楽の一面として捨てがたい。

 

 

ヴァイオリン作品集/British Violin Sonatas Vol.1-walton Ferguson Britten: T.little(Vn) P.lane(P)

 

同じレコード会社Chandos(シャンドス)レーベルからは、このソナタをオーケストラ用にコンチェルト風に編曲されたものが過去に収録されている。こちらも視聴した。これがまた素晴らしい。未来的な先取りした景色が広がる響き。室内楽とは全く別の世界が開けている。両方とも心の引き出しに入れておきたい音楽に違いない。シャンドスらしいジャケットのセンスと、マーケティングに乗りにくい目立たない音楽への慧眼には、いつも驚かされる。弾くのはリディア・モルドコヴィチ。

演奏も編曲もジャケットもうまいなあと、少しプレミア感も手伝ってまずはこちらを注文しました。また報告します。

 

 

ウォルトン(1902-1983)/Violin Concerto Etc: Mordkovitch / Latham-koenig / Lpo