クラシック好きの休日

隔日更新。特にクラシック音楽と本について。

ギーゼキングのラヴェルは、切れ目なく続く

ラヴェルの音楽をこんな気持ちで聴けるのは、とても不思議だ。

ヴァルター・ギーゼキング(Walter Gieseking)というピアニストの録音。1954年に演奏されたその音は、モノラルで、それだけでガッカリする人がいるかもしれない。

とんでもない。

ラヴェルの音楽は確かに色彩豊かで、奥行きのあるステレオでガッツリ聴いてみたい。それはわかる。でも、音楽は時にモノラルでも心を強く揺さぶる瞬間がある。そのひとつが、ギーゼキングの「The Complete Works for Solo Piano」だった。

 

 作業用BGMとして流しておくにも安心できる素朴なラヴェル

ラヴェルといえば印象派で、映像的なきらめきがほとばしるイメージがある。確かにそういうダイナミックな演奏もある。でも、何故だろう?ギーゼキングの指が奏でる音は、まるで夜の音楽のように凪いでいる。技巧的ないやみもない。寝付くまで囁いてくれる異国の物語のようだ。その雰囲気と相乗して、ラヴェル特有の懐古的な近代の響きが、贅沢なまでに響く。

私がギーゼキングの盤を聴くときは、「どの曲を聴こう」という聴き方をしない。CD1の最初から切れ目なく聴く。だから、今どのタイトルの音楽かなんて考えない。まるで海のなかを漂うように、CDをかける。ラヴェルをこんな風に聴くのは、ギーゼキングだけだ。