クラシック好きの休日

隔日更新。特にクラシック音楽と本について。

仮想GoToセネガル~絲山秋子『北緯14度』

セネガルに行ってきた」と言いたくなりそうな一冊、『北緯14度:セネガルでの2ヵ月』(講談社文庫)を読んだ。作者は絲山秋子さん。

世の中は、Go To キャンペーン真っ最中、みんな出掛けようなのか、外出自粛なのか、どっちつかずの状況に、さらに雨で追い打ちがかかっている。真夏の四連休なのにね。

ましてや海外渡航はどこも『渡航中止勧告(レベル3)』で「渡航はやめてください」だらけだ(2020年7月26日現在)。そもそも「Go To」は国内キャンペーンだから、海外は対象外だけど、気分だけセネガルに行ってきた。紀行エッセイを読むのは自由。

それでなくても2007年当時のセネガルも治安が悪く「十分注意してください」情報、場所によっては反政府組織の襲撃事件も。そんなセネガルに「ドゥドゥの打楽器音楽を現地で聴きたい」というきっかけ(あくまで、という感じで、本書のメインテーマではない)で、2ヵ月滞在する絲山さん。

絲山さんといえば、日本各地の地方の良さを、言葉も人情も含めて、うまく引き出していく作家。そんな彼女が外国滞在、しかもアフリカという違和感。ところが、彼女の技術は日本の方言だけでないことに気づかされる。彼女はセネガルで使われるセネガル風フランス語、ウォルフ(ウォロフ)語に溶け込んでいく。おそらく、セネガルの人たちと交わす「言葉」こそが、本書のキーワード・読みごたえのある文章だと感じた。

私は旅行が苦手だし、飛行機も怖い。人付き合いも悪い。それなのに体験談やエッセイはすごい楽しめる。この私自身の仮想ぶり、少し直したいなあとも思う。

2008年単行本刊行、2013年文庫化

 

北緯14度 セネガルでの2ヵ月 (講談社文庫)

北緯14度 セネガルでの2ヵ月 (講談社文庫)

  • 作者:絲山 秋子
  • 発売日: 2013/04/12
  • メディア: 文庫