クラシック好きの休日

隔日更新。特にクラシック音楽と本について。

純文学的な回想録~北杜夫『母の影』

「神河内」から始まる戦時中の回想は、描写が非常にきめ細かい。何十年も昔のことをこんなにも生き生きと表現する北杜夫の記憶力は、驚くほかない。

ゲルギエフのブルックナーに全然気づいていなかった

ワレリー・ゲルギエフがミュンヘン・フィルを振って、ブルックナー・チクルスをしているようだ。

他人の想い出のインストール~斎藤由香『猛女とよばれた淑女』

伝記というジャンルは、ある人物の偉業を書き残す。楽しく読んだ斎藤由香『猛女とよばれた淑女:祖母・齋藤輝子の生き方』は、伝記の概念からは外れるかもしれない。

「ベートーヴェンイヤー」という魔物

2020年、クラシックの世の中では「ベートーヴェンイヤー」らしいです。生誕250周年の。

ディストピアは14歳で終わるのか?~三島由紀夫『午後の曳航』

三島由紀夫の小説『午後の曳航(えいこう)』をしばらく前に読んで、眠らせていた。読んだ後、なんだかよくわからない霧のような無理解が生じてしまったから。

オイストラフの呪術~プロコフィエフ『ヴァイオリン・ソナタ第1番』

プロコフィエフの魅力に憑りつかれて30年以上の私は、ステレオ録音でもさまざま同曲の録音を聞き比べてきましたが、最終的にはオイストラフに戻ってしまいます。

私のCDと本の買い方

工夫次第ではCDも本も店舗以上に、相当お得に買うことができます。参考まで、私のCDの買い方です。

人生疲れてませんか?そんな時、ブルックナー『交響曲第9番』

人生疲れてませんか?そういう時、ブルックナーでしょう。

一度創られたものは変わらない、という残酷さ

もし、これからの世の中がもっと便利になり(それは十分考えられる)、既成音楽を自分なりにアレンジしたり新しいフレーズと差し替えることが可能な時代がくるだろう。

ブログタイトルで悩んでみる

朝、起きてブログのタイトルを変える。

クラシック音楽の参考書:諸井誠『交響曲名曲名盤100』

唐突ですが諸井誠『交響曲名曲名盤100』って本、覚えてますか?出版社は音楽之友社。わたしが中学生のころ参考書にしていたのが、この本でした。

未来風な音楽の理由~ウォルトン『ヴァイオリン協奏曲』『ソナタ』

先日、「ウィリアム・ウォルトンすごいかも」という記事を書いてあと、頼んでいたCDウォルトンの『ヴァイオリン協奏曲、ほか』が届きました。その感想です。

他人事でない『ルポネットリンチで人生を壊された人たち』

SNSはお手軽な発信源。でも、発言を一歩誤ると、取り返しのつかないことが起こる。その事例を調べた『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち』は、追跡取材を通して、その怖さを克明に記している。

ユニークな言語世界~アダメク『回って止まって』

オンドレイ・アダメク(Ondřej Adámek)作曲『回って止まって(Ca tourne ça bloque)』は2007-2008年の作品。その奇抜さはサンプラーのメッセージを最大限に活かした「ユーモア」にあるといっていいでしょう。

過去にクラシックブログをしていた話

過去に「クラシック音楽帳」という、それはそれは大それたタイトルの音楽ブログを立ち上げておりました。ところが、結局3年程前に、ぱたんと記事が書けなくなってしまった。

政治的亡霊はどこまで憑りつく?ショスタコーヴィチ『交響曲第12番』

私が貧乏な時でも中古屋さんに手放さなかったショスタコーヴィチ『第12番』のCDがある。ムラヴィンスキーがレニングラードフィルを指揮して、1984年にデジタルライブ録音したものである。

父を非情というにはあたらない?芥川龍之介『地獄変』

最近、ふと芥川龍之介の短編『地獄変』を思い出しました。数えて三回くらいは読んだ気はするのですが、改めて読み直してみると、記憶の中で別のストーリーを構成していてびっくり。どんな話なのでしょうか?

興味深い演奏~プロコフィエフ『ピアノ協奏曲第3番』の動画選

YouTubeのメリットには、「演奏する姿を見ながら聴くことができる」があると思います。家にいながらで一昔前だと、まれにN響のTV放送を見ることができる程度でしたから、だいぶ変わったものです。

2018‐2020年に聴いてよかったアルバム5選(ロック/ポップス)

もともとはクラシック音楽が大好きです。だから、ロックやポップスのCDを買うというのは、よっぽどの影響を受けたものばかりでした。そんな最近のロック/ポップスCDの傾向を挙げてみます。

まるで後期ロマン派~ヴァレーズ『アメリカ』

昔々、晩にFMラジオをつけた途端流れてきたオーケストラの響きに釘付けになったことがある。この音楽の作曲をしたのは誰なのか?

幸せってそれでいい?~ヴォネガット「ユーフィオ論議」

『カート・ヴォネガット全短篇2』所収の20ページ程度の短編、「ユーフィオ論議」を少し考えてみたい。

エリック・サティ『映画』をどう聴くか?

エリック・サティの『映画』をどう聴けばいいのだろう?実のところ、岡田暁生『音楽の聴き方』(中公新書)を読んでは、考えが行ったり来たりしている。

黄泉下りと思春期の物語~『ムーミンパパ海へいく』

トーベ・ヤンソン『ムーミンパパ海へ行く』はどこか物悲しい。最初に読んだときは、ただただ憂鬱な島でのパパの失敗談だと思った。

読書の反省、人生の渇望

「読書」という行為に、疑問を持つことがある。自戒の意味も込めて。

砂漠へ、夜へ~沼野雄司『エドガー・ヴァレーズ』を読む(後半)

第5章から雲行きが怪しくなります。壮大なものを計画する一方で、頓挫の連続。音楽の素材が宇宙的規模すぎて、脚本が逃げていく。

このワクワク感は何?シベリウス『交響曲第6番』

夏も終わりになり、せっかく気晴らしにかける音楽も逆効果のこともありがち。個人的には、シベリウスの『交響曲第6番ニ短調』が一番落ち着く音楽です。

【要注目】サイモン・ラトル新譜『利口な女狐の物語』

クラシックCDの新譜情報で、気になるものをひとつ。ヤナーチェクのオペラ『利口な女狐の物語』全曲と『シンフォニエッタ』のカップリングされたSACDハイブリッドが、2020年9月20日に出ます。

才能は人脈か~沼野雄司『エドガー・ヴァレーズ』を読む(前半)

この伝記、相当の意欲作で大部なので、感想を前後に分けて書くことにします。沼野雄司『エドガー・ヴァレーズ:孤独な射手の肖像』(春秋社)です。異様な人脈と生き方、そしてアバウトさに圧倒されまくりです。

新しいことに出会うこと、古いことを思い出すこと

新しいことに出会うことは、古いことを思い出すことだ。時々、ハッとさせられる文章に出くわす。心の奥底を揺さぶられるような響きに魅了される。

挿絵最高!キャンプ成長譚?絲山秋子『絲的サバイバル』

書棚の背表紙が誘い掛けてきたので、絲山秋子『絲的サバイバル』(講談社文庫)を読みだした。読んだのはこれで2度目。